マイクロエース車両のDCC化〜先頭車〜
ご要望があったので、KATO以外の車両のDCC化に挑戦してみます。
今回はマイクロエース車両のDCC加工です。
「先頭車」と「動力車」の2回に分けて記事にしたいと思っています。
動画を撮りながらの作業はとても大変だったので、作業途中は写真での解説になってしまいました。
今回の先頭車のDCC化は、電気工作が不慣れな人でも頑張ればなんとかできる感じの加工だと思います。
車両の方もなるべく「元の状態に戻せる」ような加工でやってみました。
<はんだ初心者の方へ>
はんだごてを扱う際には、周りに充分注意して作業してください。
うっかり車両やボディにはんだごてが触れると、一瞬で溶けてしまいます!
外したボディなどは、はんだを作業する場所から遠ざけて保管しましょう。
1作業毎に、はんだ台にはんだごてを置いて作業した方が良いです。
貴重な車両の場合は特に注意してください。
いきなり大切な車両で加工に挑戦するのはやめておいた方が良いです。
初めは中古で安く購入でき、失敗しても諦めのつく車両とかで
何回かチャレンジしてからの方が良いと思います。
何回かはんだ付けにチャレンジすると、毎回上達しているのが実感できるはずです。
はんだ付けに慣れてきてから、思い入れのある車両に挑戦した方が失敗のリスクを減らせるでしょう。
と、なんか偉そうに書いてますが、これら全て自分で体験し車両をダメにしたこのとある経験談です。
屋根やボディが溶けたときにはとても虚しい気持ちになりました。
そうならないためにもどうかご注意ください。
使用したはんだごてとハンダ線
・15w 先の細いはんだごて
・20w 先端がD型のはんだごて
・φ0.6mm SD-60 ヤニ入り 高密度集積基盤用
はんだごては15W〜20Wのものを使用します。初めて購入するなら15wの先の細い物、余裕があるならD型のハンダゴテもあると便利です。予備はんだするのにはD型の方がやりやすいです。(先の細い物でもできます。)
はんだ線はヤニ入りのものを使用した方が作業効率が良いです。
線の太さは0.5mm前後のもので良いでしょう。
さて、手持ちのマイクロエースでDCC化していない車両がありました。
「A-3487 新京成8000系 界磁チョッパ車 6両セット」
ボディをバラす
ボディを外し、台車のネジも外して、パーツ別にします。
ライトユニットを床パーツから外します。少しコツが必要でしたが外すことができました。
ライトユニットに予備はんだ
ライトユニットをテープで固定します。
床下の導電板(重り兼用)に接触する針金を、ヒートクリップで挟みます。ライトユニットのプラケースがハンダ付の際の熱で解けないように念の為です。
プラケースをハンダの熱で溶かさないよう慎重に針金に予備ハンダをします。
<予備ハンダとは>
予めハンダをつけておくことで、実際にはんだ付けする時にすぐにはんだ付けできるようにする為だと考えておくと良いです。
<はんだ付けのコツ>
・予めはんだ付けしたい部分にはんだごてを当てて熱で温めておく。(10秒ぐらい)
・そこにはんだ線を当ててはんだをのせる感じではんだ付けする。
・必要な分だけはんだを盛ったらはんだ線を離す。
・のせすぎ、熱しすぎには注意!
いきなりはうまくいかないと思いますが、何回もやっていくうちに慣れてくると思います。
ライトユニットに取り付ける線
ライトユニットに線を取り付けます。今回は、「φ0.16mm」のポリウレタン銅線です。
ポリウレタン銅線は、絶縁のため皮膜に覆われていますが使うときには皮膜を溶かして使います。
5cmぐらいの長さに切り出した線(後の作業がやりやすいように少し長めに切り出しておく)をテープに固定して、予備はんだで皮膜を溶かします。
溶かすのは2〜3mmでOKです。これを2本作ります。
ライトユニットに線をはんだ付け
ライトユニットの針金に予備はんだした線の先をはんだ付けします。
どちらも予め予備ハンダしてあるので、ちょっとハンダを溶かすだけで接続できます。
接続したらライトユニットを床パーツに取り付けて、線は穴から出しておきます。
床下パーツに印をつける
ライトスイッチの「オフ」のところでパーツの位置をマジックで罫書きしておきます。こうしておくとライトボックスの針金が床下パーツの導電板に接触する場所が分かり作業が楽になります。
印をつけたら、針金が当たらない部分の大きさをノギスで測っておきます。
線路からの電気を引き込む
導電性の銅箔テープとポリウレタン線を使って線路からの電気を車内まで引き込みます。
先ほど測った大きさより気持ち小さめに銅箔テープを切り出します。
銅箔テープを長さ5mm程でカット、8mm幅を半分にカットし4mm×5mmの銅箔を2つ作ります。
細めのポリウレタン線を用意しました。ライトボックスに使用した線と間違えないように色付きのポリウレタン線にしました。
ポリウレタン線の皮膜を予備ハンダで溶かします。
銅箔テープにも予備ハンダしておきます。はんだを盛りすぎると床パーツに当たってしまうので注意します。
線と銅箔をはんだ付けします。
はんだ付けした銅箔を印のあたりに貼り付けます。テープが剥がれやすいので、無水エタノールで油分を拭き取ってから貼り付けします。貼り付けたら綿棒でゴシゴシ押さえておきましょう。
貼り付けしたらポリイミドテープを5mmほどにカットしてライトボックスの針金が導電板に接触しないように貼り付けします。
銅箔にも接触しないように両方絶縁しておきました。
線路からの導電線を床パーツの穴に通しながら床と床下パーツをはめ直します。
ライト用デコーダ KATO FL12
ライト用のデコーダーは、今回はKATOのFL12を使用してみました。
すが、入手性が良く量販店、模型店、通販で購入できるのでDCCを始めようという方にとっては見つけやすいデコーダーだと思います。(生産の都合で入手できない時もありますが、2〜3ヶ月で復活するようです。)
本来はKATOのDCC対応車両用のデコーダーですが、ちょっと工夫するとマイクロエースやTOMIXでも使えるようになります。
まずは、長めにカットしてあった線をちょうど良さそうなところでカットします。
4つの線を予備ハンダして
1、2は線路からの電源に接続
3、4はライトへの給電に接続
このように接続するとライトユニット基盤を加工しなくてもDCC化が可能になります。
ただしこの方法、ライトへの給電が「5.5V」ほどしか出ていないようなのです。
DCC電源が10〜12V程度なので、ライトの明るさは本来の半分程度になります。
しかしこれも12VMaxだとライトが明るすぎる場合が多いので問題ない場合が多いです。(車両によっては薄暗く感じる場合もある)
明るさが欲しい場合などには、NGDCCのデコーダーを使うという方法もあります。
別車両の時に解説したいと思います。
3、4への接続は細いので隣のピンと接触しないように注意してはんだ付けします。
ライトのテスト
ポリウレタン線は銅線なので、デコーダーを室内灯の高さのところに保持するように調整できます。
こうすると車外から中を見たときにデコーダーが見えにくくなるはずです。
台車をはめてテストします。
デフォルトのアドレス「03」でライトのチェック
問題なさそうですのでボディをはめて再チェック
こちらも問題ありませんでした。
横から見てもデコーダーは見えないですね!
これにて完成です。(反対側の先頭車がもう一両ありますが…)
慣れてくれば2両作業して2時間ぐらいでできる様になると思います。
車両によってはちょっと工夫する必要もあるかと思いますが、基本的な車両の構造は同じですので、この方法を応用すればマイクロエースの先頭車のDCC化はできます。