エルムDCC交流会

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【DCC】パンタグラフ昇降とカメラカーの仕組み【Nゲージ】

先日の運転会でエルムDCC交流会メンバーのkazuさんが、
トラムカメラカーを制作されて走行されました。このカメラカーは、DCC制御のパンタグラフ昇降機構がありとても驚きました。
動画はこちら
05:00〜カメラカーとパンタグラフ昇降の紹介

youtu.be

パンタグラフの昇降機能とカメラカーの製作について
今回はkazuさんに記事を書いてもらいました。

トラムトレインのカメラカー>

これまでもエルムDCC交流会では、アクションカメラを貨車の荷台に設置したり、TC-9を首振り機能付きで組み上げたりして、運転会の様子の収録や、マスコンを用いた運転用の前面展望のためにカメラカーを用いてきた。
ところが、路面電車モジュールでは車両限界内に収まらない問題が発生した。路面電車規格であるトラムトレインでカメラカーを作ろうと思った動機はここにある。
どうせ新たにカメラカーを作るなら、もっと使いやすいものにできないか。例えば、アクションカメラでは、電池の劣化とともに機能の制約を受ける課題があった。TC-9では、アナログ伝送の信号を受信しディスプレイに表示するための一連の機器・配線が煩わしい課題があった。これらを解決するために目を付けたのが、アプリを予めインストールしたスマホwifiで画像転送する自動車用のバックカメラである。Amazonなどで検索すると、いろいろ出てくるので、リーズナブルなものを選んで調達した。これを分解して、用いることにした。
幸い、自動車内の電源を用いる設計であることから、直流12Vを給電すれば機能する。線路電源にブリッジダイオードを繋げ、コンデンサをかませれば出来上がりである。
コンデンサには、エルムDCC交流会メンバーで、Ayanoブランドで様々な基板や部材の頒布を行っているあやのさんのタンタルコンデンサ向け基板を用いて880μFを接続した。
トラムトレインは、いろいろ候補を探索するも、これといった既製品はないため、車内空間に余裕のある鉄コレ動力のTM-TR06を用いて、鉄コレの富山セントラムのボディを切り継ぎして載せることで、3連接車のフリースタイルなトラムトレインとすることにした。

運転台を装着したときのカメラカーからの映像


シングルアームパンタグラフの昇降>

パンタグラフの昇降については、DCCに限らず、先人の事例も数多く、いつかやってみたいネタとして長らく妄想の域を脱しないままに時間が経ってしまった。路面電車モジュールでも気楽に走行動画を得られるフリースタイルなカメラカーを作ろうと思ったときに、大幹線でも、非電化単線でも走るトラムトレインのようなものにしたら面白いと考え、であれば、パンタグラフは昇降できるようにと、仕掛りアイデアを具現化することにした。
パンタグラフを動かすためには、大きく3つの要素を克服する必要がある。
1.パンタグラフを車内から動かす機構
2.車内で効率よく動作伝達する機構
3.DCCで動作を操作する機構
これらを図解とともに解説する。
(図:シングルアームパンタグラフの動作機構)

1.パンタグラフを車内から動かす機構

今回、トラムトレインとする上では、シングルアーム型とするのが自然だったので、シンプルな構造を志向できた。
具体的にはパンタグラフの下部にある、釣合ロッドと呼ばれるところに、0.3㎜ステンレス棒を「くの字」に曲げ加工したもの(図中の赤い実線)を瞬間接着剤で接着し、車内で水平動作するピストンの穴に通してリンク機構とした。
この際、このステンレス棒の可動範囲を支障する屋根部位に穴あけ加工をすることが必要。

2.車内で効率よく動作伝達する機構

 狭いNゲージの車内、とりわけ、トラムトレインとなれば、基本的に路面電車の車内に動作機構を収める必要がある。
そこで、コンパクトカメラのズームレンズ駆動などに用いられるステッピングモーターのばら売り品(Amazon等で入手。駆動用のプラ部品付き。)を利用することにした(図中の黄色部位)。
ただし、狭い車内で、直に上述のリンク機構と繋げることが難しいため、タミヤのプラ材で、3㎜径のパイプと2㎜径の丸棒を用いてピストンを構成(図中の緑色の部位)。
3㎜径のパイプを屋根材に固定し、2㎜径の丸棒の片方を細く加工の上で、「くの字」加工したステンレス棒を通す穴を垂直に開けた。
もう片方には0.4㎜の穴を水平方向に開けて、ステッピングモーターの駆動用プラ部品にも同様に穴開けし、0.3mmのステンレス棒を用いて接合(図中の赤い実線)した。

3.DCCで動作を操作する機構

あとはステッピングモーターをDCCで駆動すれば動く。これについては、あやのさんが、試験用に開発された2つのモータードライバーを用いるデコーダー(AYA062)を使わせて頂いた。残念ながら一般向けの頒布はされていないデコーダーではあるが、動く幅、速さ、始点の調整などをCV値で調整ができるスケッチをGit-hubに公開されている。

あやのさんの”ステッピングモーターをDCCで動かす”記事はこちら

maison-dcc.sblo.jp

https://desktopstation.net/dojinshi/DCCMAG_2021Sb.pdf


以上により、DCCでパンタグラフ昇降可能なカメラカーを制作した。
さすがにスペースに限りがあるので、Ayanoデコーダーは、パンタグラフの隣に直置きしたが、屋根機器のように見えてこれはこれで面白いのではないかと思う。路面電車モジュールに限らず、様々なシーンでカメラカーを走らすのが楽しみ。

製作記事:kazu